○秩父消防本部火災調査規程事務処理要綱

令和2年12月11日

消防本部訓令第2号

(趣旨)

第1条 この訓令は、秩父消防本部火災調査規程(令和2年秩父消防本部訓令第1号。以下「規程」という。)第60条に基づき、規程の施行及び事務処理について必要な事項を定める。

(安全管理)

第2条 火災調査の業務執行上の災害を防止するための必要な措置は、次のとおりとする。

(1) 高所における転落防止措置

(2) 落下物の防止措置

(3) 頭、腕、足部等の身体保護措置

(4) ガス、煙、粉じん等の環境内における防じんマスク等の防護措置

(5) 重量物搬送時の危険防止措置

2 集団行動等に伴う火災、時限発火装置等による火災時の安全管理は、2箇所以上で時間差をおいて出火する危険性を考慮し、速やかな写真撮影を行うなど効率的な調査により危険防止の措置を図るものとする。

(質問調書等の録取要領等)

第3条 規程第14条に定める質問を行うにあたっては、場所及び時期などを考慮して被質問者の任意の供述を得るようにすること。なお、個人のプライバシーに関する事項の質問は、第三者が不在の場所で行うものとする。

2 質問を行うときは、自己が期待し、又は希望する供述内容を相手方に暗示するなどの方法により誘導してはならないこと。

3 伝聞による供述で調査上必要なものは、その事実を直接経験した者の供述を得るものとすること。

(火災件数の扱い)

第4条 規程第16条に定める火災件数の扱いに関する細部については、次のとおりとする。

(1) 1件の火災として扱うもの

 同一の消防対象物で、1箇所から出火した火災

 同一の消防対象物で、出火点が2箇所以上ある次の火災

(ア) 地震、落雷等自然現象による多発火災

(イ) 漏電点が同一の漏電による火災

(ウ) 同一人又は意思の連絡のある2人以上の者による連続放火又は火遊びによる火災

(2) 飛火による火災及び同一の消防対象物の火災で、火災現場から消防隊が引き揚げた後に発生した火災は別件の火災とする。

(3) 震災に伴う火災で、複数の出火点から発生した火災が合流し、広範囲に延焼を及ぼし焼損したときは、判明した火元の数を火災件数とする。

2 1件の火災が2以上の警防区域にまたがるときは、火元を管轄する消防(分)署が主体となって1件の火災として処理するものとする。

(火災種別の決定における建物等の取扱い基準)

第5条 規程第18条第1項第1号に定める建物としての最低の基準は、原則として床面積1.5平方メートル以上のもので、通常人が容易に出入りできる高さ(おおむね1.8メートル以上)を有するものとする。ただし、構造等から建物として取り扱うことが不適当なものは、この限りではない。

2 バルコニー、ベランダ等を除き、外気に開放されたピロティ又はポーチ等で床面積が算定されない部分に置かれた物は、建物の収容物としない。

3 震災に伴う火災で、地震による建物の倒壊が行政機関(市町の長をいう。以下同じ。)により確認されないうちに焼損したときは、建物として取り扱う。なお、行政機関が倒壊を確認した後に焼損したものについては、この限りではない。

(建物火災における構造別の区分)

第6条 規程第18条第1項第1号に定める建物の構造別は、次の各号に掲げる5種に区分し、その内容は当該各号に定めるとおりとする。なお、以下にいう「建築物」とは、建物と同意語とする。

(1) 木造建築物 柱及び梁が主として木で作られたものをいう。(防火構造建築物を除く。)

(2) 防火構造建築物 外壁及び軒裏が建築基準法(昭和25年法律第210号。以下「建基法」という。)第2条第8号に定める構造で、かつ、屋根が建基法第22条第1項前段又は第63条に定める構造のものをいう。

(3) 準耐火建築物 建基法第2条第9号の3に定めるものをいう。

(4) 耐火建築物 建基法第2条第9号の2に定めるものをいう。

(5) その他の建築物 前各号に該当する建築物以外のものをいう。

(建物火災における棟の取扱い)

第7条 規程第18条第1項第1号に定める建物の棟の取扱いは、建物の棟の取扱い(別記第1)によるものとする。

(建物火災における階数の算定)

第8条 規程第18条第1項第1号に定める建物の階数の算定は、建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第2条第1項第8号に定めるところによるものとする。

(車両火災における車両の区分)

第9条 規程第18条第1項第2号に定める車両火災における車両の区分は、次のとおりとする。

(1) 「鉄道車両」とは、鉄道事業法(昭和61年法律第92号)における旅客及び貨物の運送を行うための車両又はこれに類する車両をいう。

(2) 「自動車車両」とは、前号の鉄道車両以外の車両で、原動機によって運行することができる車両をいう。

(焼損程度の取扱い)

第10条 規程第19条に定める焼損程度の取扱いは、次のとおりとする。

(1) 建物の焼損程度は、建物の延べ面積(建物の各階の床面積の合計)に対する焼損床面積の占める割合による。ただし、焼損表面積で算定する部分のあるときは、建物の評価額に対する当該建物の焼け損害額の占める割合によるものとする。

(2) 車両、船舶及び航空機の焼損程度は前号のただし書を準用する。

(事後聞知火災の取扱い)

第11条 規程第22条に定める事後聞知の方法で覚知された火災(以下「事後聞知火災」という。)の取扱いは、次のとおりとする。

(1) 事後聞知火災における火災の認定は、調査員が火災現場(焼損又は爆発による損害物件)を現認することを原則とする。ただし、車両、船舶、航空機及びその他の火災に限り警察機関が撮影した現場の写真及び当該火災に関係のある者の供述があったときは、火災として認定することができる。

(2) 事後聞知火災の鎮火時分は、焼損物件及び関係者等の供述から総合的に判断して決定するものとする。

(3) 爆発損害のみの事後聞知火災の鎮火時分が、出火時分とほぼ同時刻と推定されるときは、出火時分の1分後を鎮火時分とする。

(4) 自然鎮火した事後聞知火災で出火時間の決定が困難なときは、出火時分を不明とすることができる。

(5) 運行中の車両等における事後聞知火災について、主として消火活動を行った場所が現認されないときの出火場所は、調査員が焼損物件を確認した場所とする。

(世帯の算定)

第12条 規程第23条に定める世帯の算定は、住居及び生計を共にしている人の集まり又は独立して住居を維持する単身者を1世帯とし、次に掲げるものについて当該各号に定めるところによるものとする。

(1) 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に定める学校、同法第28条の2に定める専修学校又は同法第83条第1項に定める各種学校に在学している者で、通学のために寄宿舎、下宿その他これらに類する宿泊施設に宿泊している者は、その宿泊している施設ごとに一つの世帯とする。

(2) 病院又は診療所に引き続き3箇月以上入院し、又は入所している者は、その病院又は診療所ごとに一つの世帯とする。

2 ホテル、旅館、簡易宿泊所、下宿その他の営利を目的とする宿泊施設又は従業員のための宿舎に住居のある単身者は一つの世帯とする。

3 前2項のほか、世帯数の算定方法については、国勢調査令(昭和55年政令第98号)の例によるものとする。

(り災世帯及び人員の計上)

第12条の2 規程第23条に定めるり災世帯は、人の現住する建物(付属建物は除く。)又はその収容物がり災したときに計上する。なお、共同住宅については、居住のために占有する部分又はその収容物がり災したときに計上するものとする。

2 り災人員は、原則としてり災世帯の構成人員を計上する。なお、寄宿舎、下宿等については、被害を受けた部屋の居住人員を計上し、共用部分で受けた火災損害については、実際に被害を受けた人員のみを計上するものとする。

(損害額の算定基準)

第13条 規程第24条に定める損害額の算定は、火災によって受けた直接的な損害について行い、消火のために要した経費、焼跡整理費、り災のための休業損失等の間接的な損害を除くものとし、算定基準の細部は次のとおりとする。

(1) 建物は、規模、構造、仕上げ要素その他の状況に応じ、り災時における再建築費単価を算出し、建物の耐用年数、経過年数及び損耗の程度を考慮して、減価償却の方法によるものとする。

(2) 車両、船舶、航空機、構築物、機械装置、器具及び備品等は、取得価格を基準とし、耐用年数及び経過年数に応じた減価償却の方法によるものとする。

(3) 家具、じゅう器、衣類、寝具、器具、工具等は取得価格、使用年数及び使用状況を考慮して償却した価格によるものとする。

(4) 書画、骨董品、美術工芸品、貴金属及び宝石類は、社会通念上評価されている価格によるものとする。

(5) 商品はり災時における販売価格によるものとする。

(6) 製品及び半製品は、原料又は材料の価格に工賃を加算した原価によるものとする。

(7) 原料及び材料は、購入したものは仕入価格とし、自家製造のものは原価によるものとする。

(8) 前各号以外の物件は、り災時の価格によるものとする。

(9) 震災に伴う火災で、前各号によりがたい場合については、予防課と協議するものとする。

(火災による死傷者)

第14条 規程第25条に定める火災現場において火災に直接起因する死傷者とは、客観的相当因果関係において、死亡又は負傷した原因を遡ると火災に求められるものをいい、病気に起因したものは除かれる。

2 火災による死傷者とは、火炎、高熱、煙、その他の有毒ガス等が作用して死亡若しくは負傷した者又は当該火災に係る消火活動、救助活動若しくは避難行動に基づき死亡若しくは負傷した者をいう。

3 震災に伴う火災で、火災現場における死者のうち死因が判明しないものについては火災による死者とする。

(現場の保存)

第15条 規程第28条に定める現場の保存にあたっての留意事項は、次のとおりとする。

(1) 消防活動に伴い、物件を移動し、又は破壊するときは必要最小限にとどめ、現場の状況を写真撮影により記録する等の配慮をしなければならない。

(2) 現場保存の区域は、必要最小限にとどめ、ロープ等によりその範囲を明確にすること。なお、区域の確保にあたっては、所轄警察署と連携を密にして行うものとする。

(関係者への通知)

第16条 規程第35条に定める関係者への通知は、焼損状況及び関係者等の供述に基づき、客観的に判明した状況を説明するものであること。なお、その際、関係者に対して次の事項について留意し、通知するものとする。

(1) 再出火防止に関すること。

(2) 通行人等に対する危害防止に関すること。

(照会別対応の範囲)

第17条 規程第48条に定める照会等があったときの対応は、次のとおりとする。

(1) 裁判所からの照会

 民事訴訟法(平成8年法律第109号)第226条に基づく文書送付嘱託、同法第186条に基づく調査嘱託及び刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第279条に基づく公務所に対する照会については、民事及び刑事裁判の審理の過程で要求されるものであり、支障のない範囲において抄本又は調査結果報告書等を作成し回答する。

 抄本で回答するときの作成書類は、原則として次のとおりとする。

(ア) 火災調査書

(イ) 出火原因判定書

(ウ) 火災出場時における見分調書

(エ) 現場(鑑識)見分調書

(オ) 図面及び写真

(2) 捜査機関からの照会

 捜査機関から刑事訴訟法第197条第2項に基づき、照会があったときは、支障のない範囲で協力するものとする。

 抄本で回答するときの作成書類は、次のとおりとする。

(ア) 火災調査書

(イ) 出火原因判定書

(ウ) 火災出場時における見分調書

(エ) 現場(鑑識)見分調書

(オ) 質問調書又は現場質問調書

(カ) 図面及び写真

(3) 弁護士会からの照会

 弁護士法(昭和24年法律第205号)第23条の2に基づく照会については、限定的な回答義務が生じることとなるが、プライバシー保護等をかたく守り、慎重を期するものとする。

 回答するときは、出火場所、焼損面積等の客観的な事項に限定して支障のない範囲において回答するものとし、その他判断が必要となるときは、総務課と協議するものとする。

(4) その他の官公署からの照会

 その他の官公署からの照会については、前3号に準じて対応する。

(5) 個人からの照会

 原則として回答しない。

(6) 前各号に掲げる以外の機関等からの照会については、総務課と協議するものとする。

(震災時の火災調査活動要領)

第18条 規程第54条に定める震災時の火災調査活動については、震災時の火災調査活動要領(別記第2)に基づいて行うものとし、次の事項に重点を置いて行うものとする。

(1) 地震発生直後から消火、救助活動がおおむね終息した時点までは、主に情報収集及び火災状況の記録を行う。

(2) 前号の時点から、おおむねり災証明が発行される時点までは、り災証明発行のための損害状況の調査を重点に行い、り災状況記録票(別記様式第1号)を作成するとともに、火災調査速報(規程様式第12号)を作成し、消防長へ速報するものとする。

(3) 前号に引き続き、火災による損害状況、出火原因及び延焼拡大状況について、詳細に調査を行い、震災に伴う火災の記録を将来の行政施策に反映させるものとする。

2 前項第3号の調査時における関係者等への質問については、震災に伴う火災調査票(別記様式第2号)を活用するものとする。

(震災時の火災調査書類の一部省略)

第19条 規程第57条に定める震災時の火災調査書類の一部省略については、震災時の火災調査書類の省略基準(別記第3)のとおりとする。

この訓令は、令和3年1月1日から施行する。

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秩父消防本部火災調査規程事務処理要綱

令和2年12月11日 消防本部訓令第2号

(令和3年1月1日施行)